乳がんについて

<乳癌に対する放射線治療>

 

 乳癌の患者さんの多くが治療経過中に放射線治療を受けられ、当院では毎年300名近くの乳癌の患者さんが放射線治療を受けております。

 乳癌の手術後の再発予防や転移病変による症状の軽快を目的に放射線治療が使われます。

 

【乳癌の術後放射線治療について】

・目的

 乳癌の術後放射線治療の目的としては、手術で十分に腫瘍を切除しても目に見えない微少な病変が僅かに残存することで局所再発する可能性があり、その再発が考えられる部位(残存乳房など)へ放射線治療を行うことで局所再発の可能性を減らすことです。

 当院では毎年約250名の患者さんがこの術後放射線治療を受けられています。

・治療日程

 乳癌の術後放射腺治療のスケジュールとしては、まず放射線治療のための画像を撮影させて頂き、その数日後より治療開始となります。

 治療は11(10分程度)、月曜日から金曜日までの連日となり(土日、祝日、治療機器のメンテナンスの日は除く)、従来の方法では、25~30回、約56週間の期間がかかりました。しかし、1回の照射線量を増加し、治療期間をより短くする短期の寡分割照射が上記治療と同等の治療効果、安全性で行えることが臨床試験で証明されてきました。患者さんの支払う費用、通院の負担軽減も考え、2015年より当院でも適応条件を満たす患者さんには短期照射を勧めており、15(場合によって+4)と約3~4週間の治療期間で行っております。

できる限り予定通り、毎日治療に来れるように日程の調整をお願い致します。

・照射方法

 照射範囲や照射回数などは手術結果、病理結果によって異なりますので、詳細については初診時などに担当医より聞いて下さい。

 また、左乳房への照射では放射線が心臓へ直接当たってしまい、後々に副作用として心臓への影響が出現する可能性があります。その軽減のために深吸気息止め照射(息を吸ってもらうことで肺を膨らまし、心臓を照射範囲からできる限り離して照射する方法)が有効と言われており、当院でも2017年より深吸気息止め照射を導入しております。

 当院では、より良い治療効果、安全性のため、上記のように新しい治療方法の導入などを日々検討しております。

・副作用

急性期障害(治療中から治療直後の副作用)

 皮膚炎:ほとんどの方に見られますが、一般的に照射終了後1ヶ月程度で軽快します。日焼けのようなヒリヒリ感などの症状が出現しましたら、担当医や看護師へ相談して下さい。病状に応じて保湿剤や消炎鎮痛剤を処方したり、皮膚炎部位の保護方法を説明させて頂きます。

晩期障害(照射終了後数ヶ月からの副作用:時にみられます)

 照射範囲の皮膚の色素沈着、硬化、発汗機能の低下:日焼けのように色がついて、通常しばらくすると消失します。

 放射線肺炎:CTなどで照射された肺の部分が白く写ります。多くの場合は画像上の変化のみですが、時に空咳などの症状が出ることがあります。熱はあまり上がりません。治療後数ヶ月後に出現することも多く、このような症状が続く時は担当医にご相談ください。

 腕の浮腫:腋窩郭清手術の後に照射すると腕の浮腫が増強することがあります。

 心臓への影響:心臓の放射線照射量が多いと、心臓の血流障害、稀に心筋梗塞などが起こることがあるとされています。当院では深吸気息どめ照射などを行って影響を最低限にします。

 

【乳癌の転移病変への放射線治療について】

 乳癌の場合も骨転移や脳転移などにより疼痛や神経症状(痺れや麻痺など)が生じることがあります。転移病変への放射線治療により症状が緩和できたり、今後の症状の増悪を抑制できる可能性があります。

 緩和や各種転移についての説明もご参照下さい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加