前立腺がんの通常分割照射と超寡分割照射(定位放射線療法)の治療結果や副作用に違いがあるのか−5年間の比較

前立腺がんに対する放射線治療は大きく進歩しており欧米では多くの前立腺がんが組織内照射や外照射という放射線療法で治療されています。日本でもIMRTという高度な治療が普及してきて放射線治療を選択される方が増えています。しかしこれまでのIMRTなどの欠点は治療期間が長く、何十回も通院しなければいけないことでした。一方、前立腺癌に対しては数回の治療で正確に照射する定位放射線治療が有効であることがわかってきました。今回ご紹介する臨床試験では初めて第3相という大規模の試験で、最高のエビデンスレベル(どれぐらい信頼度があるか)の結果が出ました。千人規模の中リスクから高リスクの前立腺癌のくじ引き試験の結果によると39回と7回の二つの分割法で再発に差がありませんでした。副作用に関しても定位放射線治療にて治療終了直後で若干一時的に副作用が強かった程度であり、長期の副作用に関しては差がありません。この結果からすれば中、高リスクの前立腺癌でも定位放射線治療は有望な選択肢として良いように思います。

ただ、題名にもあるように主に5年間での比較であり、基盤となるIMRT技術自体が日本では普及が遅れており経験が少ないこともあり、また超寡分割の標準的な分割回数や線量、位置合わせの方法なども定まっていないという状況もなきにしもあらずといえ、通常治療としての導入には注意も必要です。

Ultra-hypofractionated versus conventionally fractionated radiotherapy for prostate cancer: 5-year outcomes of the HYPO-RT-PC randomised, non-inferiority, phase 3 trial.Lancet. 2019

 

Posted on: 2019年7月8日, by : ETSUO KUNIEDA