肝がんについて

 肝細胞がんは慢性肝炎、肝硬変の患者に発症することが多いがんです。

 現在、手術とRFA(経皮的ラジオ波焼灼法)が、肝細胞がんの標準治療とされており、その他の治療法として経動脈的腫瘍塞栓術(TACE)が行われることがあります。これらそれぞれの治療法で、得手不得手があります。

 肝細胞がんに放射線治療が行われることは最近までありませんでしたが、放射線治療の高精度化に伴い、選択的に腫瘍に集中して治療をする体幹部定位放射線治療が可能となりました。手術やRFAが安全に行えない患者さんを中心に体幹部定位放射線治療が行われ、有用な報告が出始めました。

 体幹部定位放射線治療にも得手不得手があり、肝細胞癌の全てに最適というわけではありません。

 体幹部定位放射線治療が適応となるのは、穿刺治療が困難な部位に腫瘍が存在する患者さん、出血傾向があり他の治療法が危険な患者さん、他の治療法を拒否する患者さん、比較的高齢で体力がない患者さんです。原則として腫瘍の数はひとつに限られます。腫瘍の大きさはその位置にもよりますが、原則4cmくらいまでです。4cmを超える場合には陽子線治療の方が適する場合が多いと考えられています。また、消化管(胃、十二指腸、大腸)は放射線に弱い臓器であり、この近くの腫瘍では適応外となることもあります。