悪性リンパ腫について

 悪性リンパ腫は免疫に関係するリンパ球が異常に増殖してしまい腫瘍化したものです。一口に悪性リンパ腫と言っても、ゆっくりと変化するおとなしいものから、急速に進行するものまでさまざまな種類があります。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別することもできますが、種類にかかわらず化学療法や放射線治療によく反応することが悪性リンパ腫の特徴です。このため、外科療法はほとんど行われず、化学療法と放射線治療が行われます。

 近年では薬物開発の進歩に伴い、化学療法が治療の主体になってきており、放射線治療は残存病変や腫瘍が消失した後の再発予防の地固めとして、行われることが多くなっています。

 マルトリンパ腫や濾胞性リンパ腫、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫といった穏やかな悪性リンパ腫は、限局していれば放射線治療のみで治すことができます。近年では様々な研究に基づき、放射線を照射する範囲がより狭く、線量がより少なくなってきています。そのようにしても他の癌に比べて放射線治療がよく効くため、照射した部位は90%以上の見込みで制御できます。また副作用も軽減されています。当施設では、中枢神経原発悪性リンパ腫や鼻NK/T細胞リンパ腫などの患者さんには、さらなる副作用の低減を目指して強度変調放射線治療を導入しています。