患者様へ
放射線治療について
米国などでは、放射線治療を行う割合ががん患者のうち65%と言われていますが、日本では約27%程度です。この違いはどこから来るものでしょうか?様々な理由が考えられますが、一つには患者にとっても医師にとっても放射線治療の情報が不足しているためではないかと思われます。特にがん患者さんは、まずそれぞれの診療科に受診してそこで治療法の選択をする、あるいはされてしまいます。その段階で患者に十分に治療法の選択肢が伝えられなければ、最適な治療が選ばれないこともありえます。最終的にどのような治療になるとしても、正確で十分な情報があった方が良いはずです。しかし診察した医師の考えに偏ることも、忙しい外来では十分説明されないこともありえます。放射線治療の選択肢があれば放射線腫瘍医(放射線治療医)が別途説明した上で選択されるのが望まれます。
この欄では最新の放射線治療についての情報を最近の権威ある医学論文より簡潔にまとめます。医学論文は毎年星の数ほど出版され、玉石混淆で中には相互に矛盾するものや内容が疑わしいものもあります。そこでインパクトファクターという論文の重要度に関連する指標の高い、臨床医学の超一流誌を中心に紹介します。テーマは放射線治療に関係するものですが、一方でなるべく偏ったものでは無いようにし、科学的根拠に基づいた事実を基に書いていくようにします。可能な限り平易にし患者さんの治療選択の役に立つようなものにしたいと思っていますが、更にはがんの診療に関わる医療者にとっても役に立つものになれば幸いです。客観性を求めると内容的にはどうしても専門的になるのはご容赦ください。ただし、ここで書けることはどうしても一般的なことになります。患者さん個別の事柄についてはセカンドオピニオンなどを利用してください。
東海大学医学部付属病院放射線治療科 特任教授 国枝悦夫
注意:このページで記載されている内容は、あくまで放射線治療の一般的な記載です。個々の病気の部位や状態によって異なってきますので、個別の詳細な内容は担当の医師、看護師にお聞きください。
疾患別の放射線治療情報
放射線治療はがん治療の中での重要な柱の一つですが、日本では導入も遅れていたため、一般の方にも知られておられず、医師の方にも最新の放射線の知識が十分でないこともあります。高齢の方、合併症がある方では手術や化学療法もできない場合も多いですが、そのような場合にも放射線はしばしば可能です。自分のがんについて放射線治療が使えるかどうか、不明であれば担当医に聞き、またセカンドオピニオンとして放射線治療科にご相談いただければと思います。ご本人や各科の担当医と相談しながら可能な場合には施行します。
疾患別に説明を記載しました。
該当する疾患についての説明文をご覧頂く場合は、下記疾患名をクリックしご覧ください。
なお、新しい放射線治療に関する情報は、
世界の放射線治療
にもあります(ただし世界の研究の紹介であって、これらの治療は当科でおこなっているとは限りません)
関連情報のご紹介
①患者様向けの動画
初めて放射線治療をされる方は不安もあるかと思いますが動画による案内で少しでも解消できるかと思います。下記URLをクリックして頂ければ、動画をご覧になれます。
動画は次のような構成となっています。
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Scene 1:知る - 「ご存知ですか?がんの放射線治療」
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Scene 2:理解を深める - 「これが 最新の放射線治療」
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Scene 3:患者さんの体験 - 「密着!放射線治療 自分らしく生きるために」
②参考書籍のご紹介
当科の客員教授の武田篤也先生(大船中央病院放射線治療センター長)が、患者様向けの放射線治療に関する本と電子書籍を出版していますので、よろしければご参考下さい。
詳細(目次)や内容に関しましては、クリックして頂ければ、ご覧になれます。
「治療法選択手引き書 早期肺癌と告知されたら手に取ってみて下さい: ピンポイントの放射線治療、手術の効果を知っています?」