3期非小細胞肺癌放射線治療後の免疫チェックポイント阻害剤

Durvalumab after Chemoradiotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2017

この論文そのものについては、ネット上にも多数紹介があるので詳しくのべないが、局所進行肺癌に対しての通常の化学放射線療法の後に免疫チェックポイント阻害剤(デュルバルマブ)を使用することで大きな治療効果改善が見られた、とのものである。
腫瘍は体内の免疫細胞から攻撃されないように巧妙に自分を「隠し」、攻撃対象でないと思わせて身を守っている。逆に言えば、大きくなるような腫瘍はそのような「隠蔽」機構が備わったので成長できたのである。免疫チェックポイント阻害剤はその「隠蔽」機構を働かなくさせ、免疫細胞から見える状態にする。その際に、より免疫機能が働くためには、腫瘍をある程度破壊し、免疫を感作しやすくすることに放射線が有効なのかもしれない。具体的には臨床試験によって確認しなければならないが、基礎実験では有望な結果も得られている。今後、放射線治療の新たな使い方に発展する可能性がある。

Posted on: 2018年5月28日, by : ETSUO KUNIEDA