前立腺癌の手術、放射線治療、経過観察の患者視点でのQOLの違い:CEASAR試験
前立腺癌の手術と放射線治療とのQOL(生活の質)の観点からの比較です。前立腺癌ではどれくらいなおるか、生存するかという点では手術と放射線治療は変わりません。また、ガンであっても比較的おとなしい性質の場合には、定期的に検査はするなどとして経過を経過を見ることがあります。この研究ではこの研究では全米各地で多くの転移のない前立腺癌の方々を登録して一定の調査を行いQOLを調べたものです。研究にはCEASAR試験という名前が付いています。半年、1年、3年の時点で郵送でアンケートを送り患者から回答していただいています。
調査の対象となった2550人の中で59%が手術、23.5%が放射線外照射、16.8%が経過観察となりました。手術ではロボット手術が多く行われています。統計的には統計的には手術を受けた方に比べて放射線治療を受けた方は若干年齢が高い傾向でした。
これらの患者の方々回答では、性機能などは手術でも放射線でも低下しましたが、元々性機能がよかった方々の中で比較すると、放射線よりも手術の方が悪化の傾向が強く3年後で統計的に有意の差がありました(下図、緑は経過観察、赤は放射線治療、青は手術)
また尿失禁に関して手術は放射線治療に比べて悪い傾向になりました。
一方、尿路刺激症状に関しては、わずかですが経過観察や放射線治療より良好でした。何もしない経過観察よりよかった理由はよくわかりません。
また、消化器症状(直腸の症状など)やホルモン機能などはとくに3者で違いがありませんでした。
人種や手術の方法などによって違いが出る可能性はありますが、以前から放射線治療は直腸障害が生じやすい、と言われていたが、IMRT,高精度治療の時代になってそうでもなくなっていることはわかると思います。
Posted on: 2019年5月26日, by : ETSUO KUNIEDA