頭頸部腫瘍について

 「頭頚部」とは、顔面から頸部までの部分を指し、この範囲に含まれる鼻、口、咽頭、喉頭、耳などの部分から発生するがんを「頭頚部がん」と呼びます。(脳、脊髄、目は含まれません。)

 頭頚部がんの治療は、手術、放射線治療や化学療法を組み合わせた化学放射線療法、あるいは3つを併せた治療など、病気の部位や状況に合わせた治療が行われます。頭頚部は、呼吸、食事、発声、味覚、聴覚などの生きていくのに必要な機能や整容性など生活の質に影響を及ぼす部位ですので、がんを治すことと共に、機能温存、整容性にも配慮しなければなりません。当科では、耳鼻科医とのカンファレンスを行い、治療方針を検討しています。

 放射線治療では、手術に比べ、解剖学的な構造は変わりませんので、整容性は保たれ、機能の低下も軽度です。咽頭癌がん、喉頭がんでは、病気の状態にもよりますが、放射線治療のみ、または化学療法を組みわせる化学放射線療法で発声機能を温存し、治療することも可能です。

 当院では、IMRT(強度変調放射線治療)11回、週5回、3035回程度行います。治療時には、毎回シェルと呼ばれるマスクで頭から頸を固定します。治療期間中~終了後1ヶ月には、皮膚炎、粘膜炎による痛み、口の渇き、脱毛、味がわからなくなるなどの副作用が出てきます。鎮痛薬や食事の工夫、皮膚ケアなどが必要になります。治療が終了すると、徐々に回復していきますが、口の渇きや味覚障害、首の硬さ、飲み込みにくいなどの症状が残ることがあります。こういった症状は治療する部位により違いますので、治療前に担当医より説明致します。治療後は定期的に再発や転移、副作用などのチェックをおこなっていきます。