領域特色

 当院、放射線治療科と画像診断科はそれぞれ独立しており、臨床研究をしながら、協力体制を確立しています。両科とも十分な医師を擁し、それぞれの科に経験豊富な指導医が在籍しており、臨床から若手医師の指導まで盤石な体制です。放射線治療科のみで、医師数7人というのは全国的にも多い方です。また専任の経験豊富な医学物理士が3名と、数名の技師の資格取得者が在籍しています。

 放射線治療部門は世界的に放射線腫瘍部(Department of Radiation Oncology)といわれ、当学では当初から放射線腫瘍学なる教室として発足しましたが、当時日本では放射線治療は画像診断と別れていないことが多く、全国でも珍しいものでした。初代の母里知之教授は開校より27年間務められ、当領域の基礎を作られました。その後、大泉幸雄教授が後を継がれてさらに大きく発展させられました。現在は、大泉教授と若干の重なりを経て國枝悦夫教授が担当しています。

診療

 東海大学病院の放射線治療科は医師だけでなく、放射線治療技師、看護師、メディカルセクレタリー、受付クラークとさらに医学物理士など多職種が働いており、チームワークが良いことが特徴です。現在、関連部門である放射線治療品質管理室とともに全職種が独自の品質保証活動を行っており安全性とともに治療成績の向上に努めています。外部照射装置3台と小線源治療装置1台で年間千人超と神奈川県でも治療人数が多く、全国でもトップクラスの施設となっています。その中でも外部照射装置の1つはTrueBeam-STxで最新の治療を提供しています。

 大泉教授が就任された2001年には年間600人程度でしたから15年後の今は倍近くの治療数ですが、IMRTといわれる高精度治療への対応、装置増設、新しい治療への積極的な取り組みなど、時代への対応してより患者さんに貢献できるように日々努力しています。

 付属八王子病院にはノバリスという高精度放射線治療装置が導入され、医師2名、医学物理士教員1名が技師、看護師と年間300人ほどの治療を行っています。装置の特徴を生かしてIMRTなどの高精度治療が約4割と高くなっています。

研究

 初代母里教授は、当学赴任前にカナダに留学された経験から、最終講義では「トロントの病院は基礎部門としてRadiation Biologyをやっていますし、そして Radiation Physics が非常に強い。やはりきちんと仕事をやるには物理・生物・臨床を一緒にしないとうまくいかないと思って帰ってきました」といわれていますが、大きな装置と目に見えない放射線で治療する当部門では医学物理と放射線生物学が基盤となっています。

 大泉教授は、特に放射線生物学で重要な仕事を残されています。現在は他領域を巻き込んで放射線生物学の研究が行われ、分子標的薬を含めた抗腫瘍薬と放射線の併用はトピックスとなっています。画像によるガイドにより以前に比べてはるかに高精度となってきたため、臨床に役に立つという意味でも放射線物理の領域を強化しています。特に医学物理士を中心に4次元治療など新しい治療法や検出器、線量計算法の開発などを行っており、世界に広がりのある分野ですので今後も他大学、企業とも共同で大型研究を進めます。当施設は規模が大きいとはいえ、臨床研究は一施設では限度があるので多施設研究をさらに推進する必要があります。

 東海大学では科研費取得に力を入れており、初めての申請の際は院内で事前審査を受けることが可能です。研究支援課で研究計画書の体裁も指導していただけます。また、科研費以外にも大学独自の若手のための研究費助成があります。疑問に思ったことは直ぐに調べて研究発表することが可能です。また学生と医師との隔たりが無いので、それぞれの研究テーマに医師がサポートしたり、学生がサポートしたりして研究を一緒にすることで、臨床から物理的な側面まで幅広く研究することができます。

 企業と合同で国産の放射線治療装置を開発中です。八王子病院にプロトタイプが納入されており、実用化まであと少しの状況です。AMEDの研究費助成を受けており、日本発の高精度放射線治療装置に期待が高まっています。

以下の他施設共同研究に参加しています。
転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療の遡及的多施設共同研究
参加施設:JROSG(日本放射線腫瘍学研究機構)に参加する国内多数の施設
大阪府立急性期・総合医療センター  放射線治療科 島本 茂利
研究事務局 東海大学医学部付属病院 放射線治療科 原田 堅

 学会発表は積極的行っています。
2017年度実績:日本放射線腫瘍学会(医師全員発表)、日本医学放射線学会、日本定位放射線治療学会、米国放射線腫瘍学会

教育

 学部教育では臨床講義以外に、クリニカルクラークシップを行っています。
毎年、60名もの学部生が選択必修科目で当科を回ります。クルズスや外来見学、治療計画実習など充実した放射線治療科実習を体験しています。当教室には教育用の治療計画装置が4台あります。

 放射線治療はほぼ全臓器の腫瘍にかかわり、脳転移や骨転移など、将来内科や外科に進む学生さんたちにも役に立つような授業をおこなっています。学生アンケートでは、毎回非常に満足度が高いです。医師だけでなく、医学物理士の業務内容も知ることができます。放射線治療の実際を知りたい学生さん、腫瘍一般を学びたい学生さん、理由はさまざまで構いませんので是非、選択してみてください。

 大学院ではがんプロの一つでもある医学物理士養成コースがあり高精度治療に対応できる人材を育成しています。
治療計画を立てる上ではしっかりと医師をサポートし、若い人でも安全な治療計画の立て方を学べます。実際に医師と一緒に治療計画を立てながら最適な治療を模索し、1つ1つのことを学びます。

将来

 2010年に新病院とともに新鋭のライナック2台、小線源治療装置1台、X線およびCTシミュレータ各1台を新規導入しましたが、治療患者数の急増により不足し、2017年に最新外部照射装置1台(TrueBeamSTx)を増設しました。CTシミュレーターも更新されました。さらに既存装置を最新装置に更新することが決まっています。VMAT計画のライセンスも増やしています。また、近未来には広い敷地を生かして、都内の大学病院では困難な粒子線治療なども可能となるかもしれません。八王子分院でも最新治療ができるような体制が実現します。すなわち、装置の増強にも合わせて増員が必要です。現状でも大学病院としてかなり症例数の多い東海大学ですが、日本でも最大級、最先端の大学附属の放射線治療施設になり得ます。